平成20年6月23日、桐林クリーンセンターの煙道から採取した排ガス中から、ダイオキシン類が地元との協定値を超過するという事態が発生しました。当広域連合では、協定値を超過した場合には直ちに運転を停止することを地元と協定しているため、即刻該当する炉を停止し、必要な措置を講じて参りました。

そこで、当センターがこの事案に対して対応した措置等について「経過」、その「原因」、「主な改善の取り組み」及び「健康にに対する影響」をここに記します。そして、この事態を貴重な教訓、警鐘として、二度とこのような不祥事が生じる事のないよう、細心の注意をもって運転管理に当たって参ります。

経過
平成20年6月23日(月) 排ガス中ダイオキシン類の測定(サンプリング)
7月 25日(金) 分析を委託した業者より分析結果の速報が入り、2系統の処理システムの内、B系統で地元協定値超過が判明し、直ちにB系統運転停止
7月 28日(月) 連絡協議会(飯田市竜丘地区・伊賀良地区役員及び構成市町村理事者で構成)で対策委員会及び原因究明委員会の設置を決定

以降原因究明委員会、対策委員会、地元説明会及び周辺企業説明会を実施し、原因の究明を行うと共に改善対応策について検討を行いました。

9月 19日(金) 触媒反応塔内活性炭を交換
9月 20日(土) 対策委員会に於いて、今後の対策及び試運転を行うことを了承される。
10月 2日(木) 試運転を開始
10月 11日(土) B系統排ガス中ダイオキシン類測定(サンプリング)を実施し、終了後にB系統の運転停止。
10月 12日(日) 試運転を終了。
11月 4日(火) ダイオキシン類分析業者業者より分析結果の速報を受理。
地元協定値を下回ったことを確認。
11月 10日(月) 対策委員会に於いて、測定結果の報告
B系統の通常稼働することについて了承を受ける。
竜丘桐林区、駄科区、上川路区持ち帰り
11月14日(金) 上川路区が了承を回答
11月21日(金) 駄科区了が承回答
11月24日(月) 桐林区が了承回答
11月25日(火) B系の統稼を再開する。
測定結果

(単位:ng-TEQ/m3N)

測定結果
(平成20年6月23日測定サンプリング)
試運転
再測定結果
(平成20年10月11日測定サンプリング)
地元協定値  国基準(2t/h未満)
※桐林クリーンセンターは1.9375t/hでこの基準になります
 国基準(4t/h以上)
※協定値では、一番低いこの基準を考慮し採用しました
A系統 0.00054 0.05以下 以下 0.1以下
B系統 0.064 0.00000049

用語の説明
ng  : 10億分の1の濃度
TEQ : 毒性等量のことで、ダイオキシン類の中でも毒性の強いダイオキシンに換算したことをいう
m3N : 0℃、1気圧における気体の体積

原因について

3回に亘り開催した原因究明委員会により、原因は、排ガス処理を行う設備の1つである触媒反応塔内の活性炭の性能低下であることが特定されました。これは、排ガス処理設備である、集じん器のろ布、触媒反応塔の触媒カートリッジ及び活性炭について、それぞれ科学的な分析を行った結果から確認されたものです。

集じん器
NO1は排ガス中のばいじんを取り除き、NO2は消石灰を吹き込んで塩化水素、硫黄酸化物を反応除去する設備

触媒反応塔
排ガス中のダイオキシン類や窒素酸化物を分解し、清浄なガスとする設備

主な改善の取り組み

対策委員会は、原因究明委員会の検討結果に基づいて今後の改善・対応を検討し、広域連合が次のとおり取り組むことを確認しました。

  1. 行政の責任を全うするため、職員の教育研修を強化して、資質の向上に努める。
  2. 行政の責任を全うするため、新たにマニュアルと実施手順を整備しましたので、これに則って厳正な運営を行っていく。
  3. 安全・安心な施設の運営と維持管理を徹底するため、業務委託業者へ監督・指導を強化する。
  4. 今後は施設の経年変化が進むと推測されることから、年2回の定期点検時に合わせて施設全体の点検も行い、計画的に施設の補修や改修を行う。
  5. ごみの分別を徹底してごみの量の削減と資源の有効活用を図り、当センター運転時の安定性、安全性等を高めていく。また、地元の皆さんと一緒に行っているごみの抜き取り調査にも市町村担当者の立ち会いを求め、各市町村の取り組み状況を確認し、働きかけを強めるとともに、広報でお知らせし住民の皆さんへも協力を呼びかけていく。
  6. これまで以上に、正確且つ迅速な連絡や情報の開示に努め、地元地域とのコミュニケーションを深めて信頼の回復に努める。
  7. センター周辺の企業との連携を深め、マニュアルなど、意見をお聞きして継続的に役立てるよう努めていく。
  8. ダイオキシン類等の測定・分析方法について、研究を進める。
  9. 今回原因として特定された活性炭については、22年度まで全量交換を行い、その間に分析を年2回ずつ行いデータを蓄積し交換時期を判断する材料とします。
    ※H24.2.17に開催された桐林クリーンセンター連絡協議会において「今後の活性炭の交換時期は、毎年9月の定期点検・補修時をする」ことを決定する。
  10. 集じん器、触媒反応塔触媒カートリッジについては、年1回科学的分析を行い交換時期を判断する。
健康に対する影響について

健康に対する影響については、第三者機関にアドバイスを頂いて検討しましたところ、影響は無いと判断しました。

桐林クリーンセンター周辺における大気中ダイオキシン類濃度
ダイオキシン類を含む排ガスは、煙突から大気中に排出されることで25万倍に希釈されるとされています。またバックグウランド濃度(元々大気中に存在するダイオキシン類の濃度(0.1213pg-/TEQ/m3N))を含めて計算すると最大着地濃度は、0.12156pg-TEQ/m3Nとなり、国が定める環境基準0.6pg-TEQ/m3Nを下回っています。(希釈倍率及びバックグラウンド濃度は建設時の生活環境影響調査報告書から引用)

大気中からのダイオキシン類の摂取量
桐林クリーンセンター周辺大気中のダイオキシン類濃度0.12156pg-TEQ/m3Nで体重50kgの人が1日に呼吸量が15m3(中央環境審議会大気部会ダイオキシン類環境基準専門員会の推計)として計算すると0.036pg/kg/日となり、国が定める耐用1日摂取量(ダイオキシン類を人が生涯にわたって摂取したとしても健康に影響を及ぼす恐れがない摂取量)4pg/kg/日を大幅に下回ります。